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拈土微笑(ねんどみしょう)

工房の屋号陶 迦葉(とう かしょう)の名前の由来についてよく聞かれることがあります。

迦葉とはお釈迦さまの十大弟子の一人の名前で、釈迦入寂後、第一回結集
(お釈迦さまの教えを弟子達の記憶を基に仏典を編纂するため僧たちが集まった会合)
の座長を務めました。

そんな迦葉に拈華微笑(ねんげみしょう)というエピソードがあります。

霊鷲山(りょうじゅせん)でお釈迦さまが説法中、大衆の面前で徐に華を拈(ひね)ってみせました。一同皆その真意が分からず首を傾げていると、迦葉のみがその意を汲み取って微笑
(にっこりわらう)したそうです。その真意とは、仏法を会得するには決して文字や言葉のみではない、というお釈迦さまからの無言のメッセージだったのです。このエピソードは禅のルーツとも言われています。

生きにくいこの世で、理想の器を求め土を拈(ひね)ることができている日常に幸福を感じて
います。私の器を手に取られた方がそんな気持ちを感じ取り、想いを重ねてくださったら、
と開窯の際、迦葉のエピソードから拈土微笑(ねんどみしょう)、という言葉を造りました。
この造語は私の願いであり、指針でもあります。

言葉足らずや緊張したりで口頭でうまく説明できないことがあったので、一度文章にしておきます。
by tou-kasho | 2012-11-17 23:55 | 拈土微笑

陶芸家 菊池克の雑記帖


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