カテゴリ:作品( 18 )

ぼぶら徳利

前、煎茶道具の湯沸かしをボーフラと呼び、ポルトガル語のabobora(かぼちゃ)が語源、という話を書きました。
さらに隣人が、「カボチャのことをこの辺では”ぼぶら”と呼ぶんで」
と教えて下さり、南蛮渡来の文化の息吹が途絶えていないことに心打たれたものでした。

かつてはキリシタン大名・大友宗麟の領地だった国東で、南蛮をテーマに作品をつくるのも面白いのかもしれない。
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               斑ぼぶら徳利
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by tou-kasho | 2016-03-19 03:29 | 作品

ひよどり

所に古民家を借り始めた方が訪ねて来られた。神奈川在住のハンターで、猟期だけその仮住まいで過ごされている。今は蜜柑畑などに来るヒヨドリを空気銃で追われているそうだ。いくら高性能なスコープが備わっていようとも、その小さく俊敏な獲物を射貫くには研ぎ澄まされた感覚と集中力が必要に違いない。
家の中に招くと、玄関をくぐり、縁側にまとめて置いてあった器のひとつひとつに目を凝らされていた。

すると、突然「あっ、鳥がいる!」と声を上げられた。
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促されるまま酒盃のひとつの見込みをのぞき込むと確かに鳥がいた。

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私は自分でそのことに気付けず口惜しかったのと同時にハンターの獲物を察知する能力に驚愕した。されど見込みに逃げ込まれると流石のハンターもお手上げだ。

かくして「ひよどり」という名の酒盃が誕生した。

前回の「鵲の橋」、その前には「さえずり」という銘を酒器に付けており、鳥三部作となった。
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by tou-kasho | 2016-02-16 22:46 | 作品

昨日と明日に架ける橋

の徳利の箱書きに「鵲(かささぎ)の橋」という銘を入れるようお客様より依頼があった。
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斑徳利 「鵲の橋」


鵲の橋とは七夕の夜、牽牛・織女の二星が会うとき、鵲が翼を並べて天の川に渡すという想像上の橋のことだそうだ。短歌の世界にもしばしば登場する。

釉の掛け外し部分を地と見立て、残りの部分を天とし、将来的に使い込まれ、浮き出るであろう青の斑点を星と見なすそうだ。つまり釉の白色を脳内で夜空に反転させるだけでなく、まだ見ぬ未来の星にまで想いを馳せておられるのだ。もしくは満天の星明かりは夜空の闇を輝きで塗り潰しているのかもしれない。

「鵲の橋」は現在と未来の光景への文字通り橋渡しとなるだけでない。藁灰を釉薬に用いるという技法が北朝鮮から唐津を経由し、大分にまで辿り着いた来し方をも繋いでいるともいえる。

銘はモノを見るとき主観の妨げとなる可能性もあるが、その銘を付けた人の心象風景とつながり、そのモノの新たな側面を垣間見る面白さもある。
いずれにせよ、この徳利における対話がこのお客様と私を繋ぐ橋となったことは言を俟たない。
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by tou-kasho | 2016-02-12 00:24 | 作品

申樂盃

の神酒は 我が神酒ならず 倭成す 大物主の 醸みし神酒 幾久 幾久
                                          高橋活日命


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申樂盃なるものを作りました。風姿花伝に申樂とは神楽を意味するとあり、「神楽」は「神座」(かむくら・かみくら)が転じ「神の宿るところ」を意味するそうです。

新年を神酒で言祝ぐめでたさよ。

奈良の酒造りの人、イクヒが上の句を詠んだのも丙申だったとか。
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by tou-kasho | 2016-01-13 02:34 | 作品

月暈盃

走22日に窯焚きをしました。新しい土と新しい釉薬。新しい試みを窯の中に詰め込んでの点火はいつだって月面着陸を夢見たアポロ計画のような期待度で胸が膨らむのであります。

今回の窯出しに特別期待感が高かったのには二つ理由がありました。

一つは土と釉薬の相性について普段より時間を掛けて考え、準備できたこと。

そしてもう一つは、窯焚き中の夜空に月暈(げつうん)を見たことでした。

私はそれが薄雲の細かい氷の結晶が月光を反射して夜空に月の輪を描き出す幻想的な現象だということを終ぞ知らずに生きてきました。
調べてみると、それは吉兆と言われていることも知りました。

そんなわけで今回は何かあるんじゃないかとワクワクしながら器を取り出してみると、、、
青白色の澱が見込みに環状の景色を作り、まさに月暈を想起させる盃が採れました。

このような釉調の器は初めてで、酒映りも良く、月暈がこの器をもたらしたとしか言いようがありません。

明日は今年最後の満月。満月の聖夜にこの盃で水月を掬いながら聞し召そうかと思います。

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by tou-kasho | 2015-12-24 23:34 | 作品

栄螺さん

るい笑顔に 幸せがついてくる
楽しい仲間と 陽気な栄螺さん
みんなが笑ってる 夕やけも笑ってる
ルルルルルル 明日もいい天気
 

(サザエさんの主題歌・4番より)

夜更けの独酌もいいが夕暮れ頃から気のおけない友人たちとこんな盃で呑んだらまた楽しいかもしれません。

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刷毛目栄螺盃
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棘もつけてみました
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by tou-kasho | 2015-08-04 23:57 | 作品

還暦! ガトー・オペラ

潟での展示は初陣となります。
ギャラリー謙信庵のオーナーと打ち合わせをしている際、謙信庵のある上越市には高田公園という城跡に出来た公園があり、外堀跡の蓮池は東洋一の規模と言われており、丁度個展期間中には上越はすまつりが催されていることを知りました。
今年は蓮との縁が深いようなので、急遽蓮に関する作品を増産しました。

そのうちの一つ、粉青蓮華瓦当(がとう)文餅型皿。寺社の軒丸瓦の先端に見られる瓦当をモチーフに作りました。
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菓子:Gâteau Opéra
器:粉青蓮華瓦当文餅型皿


ガトー・オペラは1955年にパリの洋菓子店ダロワイヨのオーナー、シリアック・ガビヨンが発案したケーキで、上に乗っている金箔がパリ・オペラ座のドームの上にあるアポロンの掲げる黄金の琴のように輝いて見えることから命名されたそうです。

ガトー・オペラ on ガトー文皿。

このオヤジギャグのお陰で、ガトー・オペラの由来を知ることができました。
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by tou-kasho | 2015-08-03 02:24 | 作品

聖杯

GWの二日間、唐津で開催されていたやきもん祭りに出展させていただきました。
友人たちの厚意で出展出来ましたが現地に下見に行く暇も無く、今回はワインのテイスティングの為の器を各自提供する、ということと、出展場所が暗い路地裏の通路上ということだけわかっていました。
私の妄想の中では完全に設定がブレード・ランナーの中のカオス都市の路地裏になっていて、そこで提供する器となればバルセロナのあの店のフィーリングで行こう!と勝手に決め込んでいました。
その店の名はLa Xampanyeria (シャンペン屋)。海岸近くの裏通りにある、とにかく安くピンクシャンペンとソーセージが供される立ち飲みバルで、猥雑な店内はいつ行っても人でごった返していました。そこで出されていたグラスの雰囲気をモチーフに器をつくりました。
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皮鯨ゴブレットとでもいいましょうか。

ワインはVino de Mesa(テーブルワイン=安ワイン)ならぬ
Vino de Misa(ミサ用ワイン)。
一字違いで大違い。
ポルトのような甘い酒精強化ワインで、Wilkinson(炭酸)で割ったら
Xampanyeriaの味に当たらずとも遠からず。
先日、知り合いの禅僧が泊まりに来られ、このワインとマリア像をお土産に持ってきてくださいました(笑)最近神父さんと仲良くなってよく教会に遊びに行かれるのだとか。世界広しといえど禅僧にミサ用ワインとマリア像を同時にもらう機会は中々無いと思い、心していただきました。

あの方、曹洞おもしろい。
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by tou-kasho | 2015-05-21 00:18 | 作品

蓮は美しい上に美味い

礼は季節を少し先取りするのがいいそうで、そんなことを知ってか知らずか気の早い蛍が飛び始めました。

我が家の床にも蛍に因んだ軸が掛かりましたが、後日改めてこの話は書こうと思います。

さて、来月は奈良の文居さんにて小澄正雄さんと二人展ですが、「蓮」をお題としていただいたので昨年よりあれこれと考え試作などをしていました。

はじめは仏教との親和性から蓮を捉え考えていました。
拙窯の名前の由来でもある拈華微笑の花は金波羅華(こんぱらげ)という空想上の花だそうですが、なんとなく蓮のイメージと結びつきます。

蓮には花を見ている自分の穢れを恥ずかしく思わせるような、清廉で凛とした佇まいがあります。

儒家たちもこの花に清廉潔白さや君子の理想の姿を見、詩や絵のモチーフとしました。

そういった精神世界での象徴性を考えずとも、蓮の花は、葉は、実は、そして枯れた姿でさえ美しい。そして根は美味い。

今回はその圧倒的な美しさに気圧されながらも無邪気に考え形にしたあれこれを少しずつ出展しようと思います。
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荷盞 
中国では蓮の葉に酒を注ぎ、その茎から酒を飲む趣向があるそうで、盃に見立てた葉を「荷盞(かさん)」と呼んだそうです。飲みにくそうでとても飲みやすい盞(さかづき)となりました。
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荷葉皿(かようざら)
文居さんオーナー宅に嫁いでいった皿。唐津市厳木町の和菓子職人、原さんのお菓子を載せて写真を送って下さいました。
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by tou-kasho | 2015-05-17 01:03 | 作品

セレンディピティ

一番が濃密な梅の香を鼻に届けた日、私はギャラリーに展示会の作品を届け、
安堵しています。

突然ですが、セレンディピティの定義を調べました。「何かを探しているときに、探しているものとは別の価値あるものを見つける能力・才能を指す言葉」とありました。

最近、絵唐津をモチーフにした透かし文の向付を作りました。絵唐津に憧れつゝ旨く表現できない自分をもどかしく思っていた或る日、ふと思いつきました。これもセレンディピティといえるでしょうか?
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                      皮鯨透かし文向付
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by tou-kasho | 2015-02-24 00:40 | 作品