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歓喜沙門

2月の別府での個展の際、白磁の乳瓶を展示していました。

ある友人がそれを見て、「円空のようですね。」と評してくれました。
その場にいた他のお客様、ご亭主、勿論私にも衝撃が走りました。

確かに乳瓶のたたずまいは円空の木っ端仏のようでもあり、
ざっくりとした面取りは円空の奔放な鑿跡にも見えます。

そもそも乳瓶は母親が初乳を器に入れ神に奉げ、母乳がたくさん出るよう祈るため
作られたものです。

円空が諸国を行脚し、できるだけ多くの人に触れられ、法を守る心を伝えようと作られた
木っ端仏。そして乳瓶。
双方に通ずる「祈り」の具象化を彼は読み取ったのでしょうか。
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         木端仏群像 荒子観音寺(新潮社「円空巡礼」より引用)

それ以来、円空が私の頭の片隅にあり、いろいろな形の乳瓶を作っては壊しを
繰り返しています。

歓喜沙門_d0247023_0292920.jpg
                         粉引乳瓶

いつの日か、円空仏の湛える微笑が私の器にも宿る日が訪れたなら、円空が歓喜して
鑿を振るったような境地で器が作れたら。。。

そんなことを夢見て作陶している今日この頃です。
by tou-kasho | 2013-05-29 01:38 | 日々の暮らし

陶芸家 菊池克の雑記帖


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