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カリオモン(コーヒー・セレモニー)

15年程前、スペインのジローナ郊外の山中の友人宅でエチオピアの建築家に会いました。
月の明るい気持ちのいい夜だったと記憶しています。

互いの国の話をする中で、エチオピアの「コーヒー・セレモニー」の存在を知りました。
コーヒー原産地とも言われるエチオピアは(この国のカファ地方という地名はコーヒーの語源という説がある)それだけにコーヒーとの長い付き合いがあり、独自の喫茶作法を育んでいったようです。
曰く、友人や客を家に招き、コーヒーを振舞うのは彼らには名誉で幸福なことだそうで、客人が家に来る前に自然を象徴する草を床に敷き、香を焚き、客人が来てからは客の前で豆を煎り、その音や匂いを楽しむ。。。
そんな話を聞いて、もてなしの心や五感をフルに稼動させるところ、自然を空間に取り込む
など、なにか日本の茶の湯にも通ずる興味深い世界に思えました。

いつか必ずこの国に行こうと思い続けた10年後、国際協力機構が以前勤めていた陶芸機器メーカーの窯を彼の地に設置することになり、すでに退職していましたが設置補助員という形でエチオピアに行くことになり、夢が実現しました。
仕事メインではありましたが、本当のコーヒー・セレモニーを体験することができました。

以前書いたスペインの水瓶の記事のように、今度はエチオピアのコーヒーポット(ジャバナ)形の水滴を作ってみました。
カリオモン(コーヒー・セレモニー)_d0247023_133566.jpg
左:黒釉ジャバナ形水滴  右:ジャバナ  下:コーヒー道具台(ラカポッツ)
カリオモン(コーヒー・セレモニー)_d0247023_154692.jpg
客前で炒られたコーヒー豆を乳鉢ですりつぶし、ジャバナに入れ、熱湯を注いでカップに注がれます。三杯飲むのが正式です。コーヒーを振舞う女性の所作はエレガントでした。
カリオモン(コーヒー・セレモニー)_d0247023_2191917.jpg
草が敷かれ、乳香が漂っています。話に聞いた通りでした。
by tou-kasho | 2013-10-06 02:52 | 作品

陶芸家 菊池克の雑記帖


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