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昨日と明日に架ける橋

の徳利の箱書きに「鵲(かささぎ)の橋」という銘を入れるようお客様より依頼があった。
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斑徳利 「鵲の橋」


鵲の橋とは七夕の夜、牽牛・織女の二星が会うとき、鵲が翼を並べて天の川に渡すという想像上の橋のことだそうだ。短歌の世界にもしばしば登場する。

釉の掛け外し部分を地と見立て、残りの部分を天とし、将来的に使い込まれ、浮き出るであろう青の斑点を星と見なすそうだ。つまり釉の白色を脳内で夜空に反転させるだけでなく、まだ見ぬ未来の星にまで想いを馳せておられるのだ。もしくは満天の星明かりは夜空の闇を輝きで塗り潰しているのかもしれない。

「鵲の橋」は現在と未来の光景への文字通り橋渡しとなるだけでない。藁灰を釉薬に用いるという技法が北朝鮮から唐津を経由し、大分にまで辿り着いた来し方をも繋いでいるともいえる。

銘はモノを見るとき主観の妨げとなる可能性もあるが、その銘を付けた人の心象風景とつながり、そのモノの新たな側面を垣間見る面白さもある。
いずれにせよ、この徳利における対話がこのお客様と私を繋ぐ橋となったことは言を俟たない。
by tou-kasho | 2016-02-12 00:24 | 作品