Il cigno è mobile

歳の娘に心を翻弄されています。さっきまで一緒に仲良く遊んでいたかと思うと今度は完全拒否。下の写真のモビールのようにクルクルと心変わりをする娘。イタリア語でモビールはmobileですが、「気まぐれ」の意味もあり、ヴェルディのオペラの一節を思い出しました。

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鳥のモビール(此君亭工房)と天鶏壺



女心の歌
La donna è mobile         
女はきまぐれ
Qual piuma al vento        
風になびく羽のように
Muta d'accento e di pensiero   
声色も変わる そして心も

ジュゼッペ・ヴェルディ「リゴレット」より

そしてこう続きます。

Pur mai non sentesi        
そうは言っても
Felice appieno           
女の胸で本物の幸せを感じずに終わるのは
Chi su quel seno non liba amore
愛を味わえない人だ

振り回してくれる相手がいる幸せを感じ、当面はこのmobileを楽しむことといたします(笑)









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# by tou-kasho | 2017-12-21 00:35 | 日々の暮らし
年のスペイン・コルベド旅行で、英国の建築家デイビッド・チッパーフィールドさんのサマーハウスに行き、そこで日本人のアートコレクターであり、墓苑の理事長でもある大澤氏とお会いしました。これがご縁となり今年7月に落成式となったデイビッドさんが設計した猪名川霊園礼拝堂・休憩棟で使用される湯呑みを依頼されました。
製作に先立ち、建設途中の現地を見学しました。また、同じく大澤氏が運営する狭山湖畔霊園の森の礼拝堂(中村拓志氏設計)は、昨年アルカシア建築賞の最高賞「ビルディング・オブ・ザ・イヤー」を受賞し受賞記念パーティーにも参加させて頂きました。
当初猪名川で建物を見たときにはその特徴的なカラーコンクリートの外観に準えた湯呑みを作ろうと考えていました。
しかしその後、「狭山の森の礼拝堂」の受賞記念パーティーでの中村拓志氏の設計への思いを聞いてしまったのが悪かった(笑)。私ももっと表層的でなく、その場で器を使って頂く意味をもう少し深く掘り下げて作ろうと思ってしまい、ついには落成にも間に合わず、ようやく11月になって納品させてもらいました。出来上がった湯呑みの形は私が唐津の故・中川自然坊先生の弟子となり、最初に出された課題の汲出しの形でした。できの悪い私は他の弟子達よりこの課題をクリアするのに時間がかかり、それでも言葉では教えてもらえず、悩みに悩んだ器でした。この形にしようと思った時は直感的にそう感じたのですが、この器を作っている時、彼岸に逝かれた師匠と対話しているような気がし、それに気づいたときにはこみ上げてくるものがあり、これで良かったんだと思いました。

参拝した方々が休憩棟でお茶を飲まれる時に、このような神秘体験をもって作った器で故人との対話をし、また御自身を振り返る一助となればとの願いを込め製作しました。
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猪名川より写真をいただきました。デザインも釉薬も形も、故人との、あるいは自己との対話の邪魔にならぬよう最もシンプルなものにしました。

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びっくりするほど良い写真が全くなかったので興味のある方は是非月刊誌「新建築」9月号(92)、もしくは「GA JAPAN」SEPT-OCT号(148)で特集されていますので御確認下さい。



今日は故・中川自然坊先生の命日でもあり、上述のエピソードを先生と懇意にされていた禅僧に追善の意も込め電話でお伝えし、故人を偲びました。

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# by tou-kasho | 2017-12-13 23:46 | 日々の暮らし

京傳鼻で笑う

年ほど前、くずし字に親しもうと思い図書館でふと江戸戯作文学である黄表紙を手にしました
江戸時代の大人向けの絵本、といった所でしょうか。最初に読んだのは山東京伝の「江戸生艶気樺焼(えどうまれうわきのかばやき)」。団子鼻の主人公、艶二郎が自分は沢山の女に焼き餅を焼かれる色男だと世間に思い込ませるため、金持ちなのを良いことに大枚をはたいて涙ぐましい数々の画策を打つ、という話でした。
くだらないけれど愛おしく、またその発想の素晴らしさに引き込まれてしまい、すっかり山東京伝のファンになってしまいました。また、挿絵は当時の器が生活にどのように溶け込んでいたのかを知る貴重な資料でもありました。

の縁の妙は人生が長くなればなるほど一層感じるもので、今年知人の紹介で食べに行った祇園の食たくかとうさんでご主人と話していたところ、奥様が山東京伝研究の研究者・有澤知世さんということが判明しました。ちょうど前述の艶二郎の団子鼻(京伝鼻と呼ばれている)をモチーフに器を作ろうと思っていた頃で、後日本人とお目文字叶い、おすすめの京伝の著書やくずし字のアプリを教えていただいたりしました。
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見栄っ張りな放蕩息子・艶二郎
いつの時代もおバカは変わらない。

11月のしぶや黒田陶苑での個展では「京傳鼻盃」を発表することができ、思いの外ご好評を賜り完売となりました。
完売後有澤先生がご来廊され、お見せすることはできませんでしたが京傳鼻盃完成のご報告をすると大変喜んで下さいました。
後日、資料と共にお手紙を送って下さり、京伝の晩年の作「気替而戯作問答」の中でその鼻が飛んでいってしまうことを教えて下さいました。なんともシュールな京伝ワールド。京伝の他の作品も現代のギャグ・ナンセンス漫画にも通ずる奇天烈な世界が展開されるものが沢山あり、今後も時間を作って読み続けていこうと思います。
そしてまた、京伝をモチーフにした作品を作ってみようと思います。

有澤先生、ありがとうございました!!

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「気替而戯作問答」と京傳鼻盃
奇しくも今年はこの作品の出版200周年でした。挿絵は歌川豊國。

飛んでいった鼻は200年の時空を超えて現代に盃となって現れたのでした(笑)

鼻で笑いながら酒を楽しんで頂ければ、という気持ちで作りました。





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# by tou-kasho | 2017-12-12 22:59 | 作品

寸草春暉

族行事が三つ重なり、京都へ弾丸旅行。その一つ、母の古希祝。

母を食事に招待し、器をお使い下さっている京都和久傳さんにわがまま言って、拙作で料理を出してもらいました。

よこわのトロと鯛の刺身
器:皮鯨皿


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菊芋の揚げたん
器:粉引四方

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ずっとお願いされていた雲鶴の器をプレゼントしました。

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地獄の鬼すら反吐吐く所業を繰り返してきた私も歳を重ね、寸草の心が芽生えました。

大学卒業後、就職せず悩みながら彷徨う自由を与えてくれたことが今の道を決められた礎となっています。










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# by tou-kasho | 2017-11-30 09:55 | 日々の暮らし

美伊

京のギャラリーの方が拙宅までお見えになり、わずかばかりで申し訳ないがお取引させてもらうことになった。(詳細は後日お知らせします)
このオーナーが私の知っている別府の料理屋と以前同じ会社で働いていたことが判明し、サプライズでこのお店に食べに行った。
別府の電車の高架下にある北高架商店街という、最近面白い店が軒を連ねる場所。扉を開けるとカウンター越しに大きなスクリーンがあり、プロジェクターでフェリーニだったりももいろクローバーZだったり、はたまた暖炉の火が延々と映し出されたりしている。ももクログッズで埋まったこの空間で、まさか地元の食材を活かした懐石料理が食べられるとは誰も思うまい。
この料理人は京都や東京の名店を渡り歩き、ナポリの日本料理屋でも長いこと働いていたという異色の経歴の持ち主。私と同い年で、ノープランで思いのまま生き抜いてきた、つかみどころがないが何かしら愛すべきところのある男だ。
ギャラリーオーナーとこの料理人の久々の再会の演出ができたことに満足し、車での移動で酒をたのめなかったことに不満足しながらも楽しい夜を過ごした。
今後もこのカオスに共感できる人をお連れしていきたい。
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北高架商店街。いつぞやはこの空間でおっちゃんが素振りをしていた(笑)。
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蓮蒸し、、だったかな?
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この夜は大森靖子の素晴らしさを熱弁してくれた。

美伊、という店です。前日までに予約しないとお断りされてしまう可能性があるので、予約必須。

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# by tou-kasho | 2017-11-26 21:42 | 日々の暮らし

陶芸家 菊池克の雑記帖


by tou-kasho